あのときオレはクズだった　~番外編② in Japan~

大幅に増えた支援金を増やせるかどうか、いざ勝負‼

　LCCの台頭が著しい現在の航空業界を考えると、フィリピンはもはや遠い外国ではなく、すぐに行くことのできる隣国の ひとつ。たった4時間半。プロモで買えば込々でも片道5000円以下で買える航空券はとにかく魅力的で、4月の末に片道3000円で日本行きの航空券が売り出されたときは、スケジュールを無視して瞬間的に購入したのだった。


　先に航空券を買ってしまって、そのあとで帰国中のスケジュールを埋めていくというのがいつもの自分のパターン。今回は楽器の修理というところにポイントをおいて約束を取り付けていたのだけど、Twitter上で帰国する旨を書いたところ、パチ7の編集長より連絡があった。


「アクセス数に応じた田中さんへの支援金が貯まっていますので、お渡しいたします」


　たしか前回は編集長が自らセブまできて、10回分のアクセスに応じた1万数千円の支援金をくれたわけだが、そのお金を増やせという悪魔のささやきに乗せられカジノへ行くことになったのだった（編注①）。しかし、今回はカジノもないし、1万数千円でパチスロを打つのも心許ないので、頂いたお金は子ども達へのお土産、日本のチョコレートでも買って帰ってやろうと、そう思っていた。


 

　忘れもしない4月18日の土曜日。指定された新宿の路上で待っていると、ほどなくして編集長がやってきた。休日にわざわざ出向いてくれるとはありがたい。近所の喫茶店に入って、コーラを飲みながら話し始める。


「これを見てください。これが11回目から20回目までの田中さんのコラムのアクセス数です」 　

　そう言って渡された1枚の紙切れに目をやると、そこには5万2300という数字があった。


「おかげさまでパチ7も少しずつアクセスを伸ばしていまして、今回、このような結果になりました。つきましては1アクセスにつき1円。計52300円を田中さんへの支援金としてお渡しいたします。あくまで田中さん個人への支援金ですので、どのように遣われても結構です」 　


　前回の3倍以上となるこの数字は、自分の功績ではなくパチ7の力（編注②）。にもかかわらずポンと払ってくれるのはさすが大企業といったところ。これで好きなだけチョコレートを買って帰れるなと思っていたのだが、またしてもここで悪魔のささやきが……。
 

「つい先日、日本では神々の凱旋という新しいゴッドが出たんですよね。知っていますか?」 　


　ああ、風の噂に聞いているから、その存在は知っているけど。


「今回は第1停止時のフリーズなんかもあって、けっこう痺れますよ」 　


　へー、そりゃすごい。でも、どちらかと言えばオレは花火のほうが興味あって……。


「うちの会社でも一撃で1万8000枚とか、そういう人間が何人もいますからね」


　あーー、もう。打ちますよ。打ちゃいいんでしょ。 打ってお金を増やしてやりますよ‼ 　


「僕は打てとは言ってませんよ。田中さんにお渡ししたお金なんで、ご自身の判断で好きなように遣ってください」


　わかりました。ボクがゴッドを打ってみたいから、いまからゴッドを打たせてください。


　まんまと誘導されたようで釈然としないが（編注③）、まあいい。この5万円が10万、20万になればチョコレートどころかなんだって買えるわけで、やってやろうじゃないか。オレだって10年以上前からこの業界でやってきている人間。ここぞ というときのヒキを見せてやるよ。そう意気込んで打ち始めたのだが、以下がその実戦データである。
 

　

　あっという間に86,000円も負けたんですけど。天井は高ループに期待できるってきいたから追いかけたのに、あれだけリプ3引いても入らなかったG-STOPに1419Gで入って、あっさり当たったんですけど。なにより、52,000円の支援金では足りなかったから、自腹で34,000円も遣っちゃったんですけど……。


　ふっざけんなよ。打つ前は5万を10万、20万にと思ってなくもなかったが、本音を言えば楽しみながら8,000円も勝てれば万々歳。ゲーム性を楽しめればそれでいいや程度に思っていたのに、たった3時間や4時間で86,000円？

　
　ふっざけんなよ。


　ばりばりのヘビーユーザーだったころならさほど違和感を抱かなかったかもしれないけれど、パチスロに触れる機会が減ったいまの自分はライ トユーザー。こんなバカみたいな投資に耐えられるだけの免疫も財力もない。こんな仕様の台をバンバン出して、業界はどうやって新規ユーザーを取り込むつもりなのだろうか。 いったいどんな若者が、こんな仕様の台に対してゼロの段階から興味を持つというのだろうか。偉い人～、もっとパチスロを規制してください‼


　まさかの全額負けに終わった今回の番外編。もう二度とゴッドなんて打つもんかと思っているわけだが、なんか次こそは簡単にゴッドが引けるような気がするんだよなあ。いまからちょっとだけ、行ってみようかな……。

いや、止めたからね？ 最初のGGが単発だった時に、私、止めましたからね？
証拠？ ありますとも！ 次の画像をご覧ください。

ね？　ちゃんと止めてはいるんですよ。
でもね、彼が採った行動は「既読スルー×2」。 天井に向かっている時だって「半分以上は単発ですよ？」とお伝えしました。

でもね、彼は笑いながら投資を続けたの。
「ああ、こりゃもうダメだ」、そう思いました。

私が出来ることは傷ついた彼を思い出横丁に連れて行くことだけだったんです。
 

とにかく酒で忘れるんだ。自腹を切ってしまったことは忘れるんだ。

安い酒と、安いつまみが彼を癒していく。

様々な話をした。
今のパチンコ業界のこと、現在のNPO活動と今後、なぜNPO法人を立ち上げたのか？など直接お会いしたことは数える程度だが、実はコラムでの付き合いは長い。
セブでテキーラパーティーを繰り広げた事実もあるからだろう、私も田中氏も思ったより心を開いている。 そう、楽しい時間。

店はすでに2件目に移動。つきない話。
「あぁ、酔っぱらった。楽しい一日だった」と締めに入った直後、
私はこう言ってみた。


「もう、今日のゴッドのことは忘れました？」


すると…、


 

これからもよろしくね！