【第4回】お題～あなたにとってパチスロライターとは？～鈴虫君編

クズと虫。
元クズ田中氏と鈴虫君氏が同じテーマをそれぞれの視点で語るという連載企画。第4回は「あなたにとってパチスロライターとは？」です。よく耳にする話題ではありますよね。お二人のお考えは果たして？
 

　パチスロライターに世間が抱くイメージの大半が、専門チャンネル、ネット動画、DVDなどに出演する、いわゆる「映像の人」といった認識だろう。時代に沿って個々のスタンスや周りの見方は変化していくものだから、その是非を問うつもりはないが、こういった場で文章を書かせてもらい、読者から「読んでます」や「おもしろかった」の声をもらえると、ライターを名乗る者としてやはりうれしいものである。


　自分がパチスロ必勝ガイドに入ったころ、今のように仕事の幅は広くなく、パチスロライターの仕事といえば、極端に分けて機種ページと連載ページの原稿書きとデータ取りの2パターンしかなかった。新人はデータ取りをこなし、いつやってくるかわからない原稿書きのチャンスを待つか、自ら営業をかけて奪いにいくか、いずれにせよデータ取りだけの収入だけでは厳しいものがあって、書かせてもらわなければ生活は楽にならない。


　ところで、今も昔もどういった理由でパチスロライターになりたいと皆は思ったのだろうか。よく、耳にするのは「パチスロのおもしろさを伝えたいから」である。素晴らしい理由だとは思うが、ブラック鈴虫からすれば本当かよ、と疑いたくもなる。なんて形のない難しいものを選ぶのだろうと。


　自分がパチスロライターを目指した理由をひとことで表すなら「楽しそうだったから」。当時、おっさんたちが誌面で楽しそうに遊んでいるのを読んで、楽しそうだな、自分も仲間に入りたいと思ったのがきっかけで、明確な目標は持っていなかった。


　誤解を恐れずにいうと、パチスロが好きでパチスロライターになったというよりは、パチスロ必勝ガイドが好きでパチスロ必勝ガイドライターになった、むしろその情熱だけは強かったからなれた…といったほうが正解か。面と向かっていうのは恥ずかしいし、お酒の席でも口にしたことはないことをここでカミングアウトすると、12年前、自分は木村魚拓さんに憧れてこの世界に入ったのだ。


　今思えば、自分はパチスロ必勝ガイドライターになる…そこがゴールになってしまっていたのだろう。努力らしい努力はしていないし、挑戦もしてこなかったから挫折の経験もない。最近になってようやく、ライターになる前に一番強く感じた「楽しそう」の延長を見つけたからモチベーションは高いけれど、情熱を失う、もしくは忘れてしまった人間の脆さというのは本当に怖いものである。


　当時とは時代が違って、パチスロライターの仕事が基本的にどんなものか、それを知る情報は多く、理想と現実のギャップは少ないだろうから、これからライターを目指す若者はフィットしやすいだろう。問題は強い情熱をいかに継続させられるかで、自分のような未熟者が語るのも恐縮だが、情熱の持続はどの分野でも共通する成功の秘訣だと思う。


　これまで何度か絶望感に襲われ、正直、辛いと思ったことはあったけれど、パチスロライターという職業を嫌いになったことはないし、今以上に楽しい職を見つけられる自信もない。さらにいえば、自分が再就職なんてジュノンの表紙を田中さんと肩を組んで飾るのと同じぐらい厳しいものがある。


　初めてパチスロを打ったときに、これはおもしろいと電流が走って、その遊びを10数年も続けて仕事にまでしている。いろいろ制約があるとはいえ、基本的にパチスロを打っているだけだから楽しくないわけがないというのを、この原稿を書いていて改めて天職だと感じた。そう思わないとやってられないし、これからも楽しそう、その感覚が死なぬかぎり続けていくのだろう。