終わりと始まり～エピローグ～

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２年前の春

最後の返済が終わる。

ようやく全てが終わった。


７０万円という大きな金額を

たった１年で返済することができた。


会社から

「ボーナスが出ると思うな」

そう言われていたけれど

普通に年２回きちんと出してくれた。



理由はこうだ。

「オマエが苦しむのは当たり前だ」

「けれども嫁さんまで苦しむのはおかしいだろ」

「その分で嫁さんに何か買いなさい」



ボーナスの分で繰り上げ返済し

１年で返済できた事が大きかった。

会社には感謝しているが




一番感謝したい人がいる。




当然離婚だろうと思っていた。

されて当然のことをしているからだ。

けれどもついてきてくれた。

月の返済やローンの支払いで

ほとんど外食もスロットに行くことも

制限されてきた。

文句はあったけれど、常に笑顔だった。


そこまでしてくれた嫁に


感謝の言葉では足りないけれど


ただ一言

「ありがとう」

と伝えたい。



そして今

何事もなく平和に

「一緒に」

スロット、パチンコを楽しむことができる。


一人の時は作業でしかなく

楽しめなかった。

けれど二人なら

どんなに負けても楽しく帰ってこれる。


時折自分だけ般若みたいな顔になるけれど。


欲しい物は買い

打ちたい時に打って

食べたいものを食べ

そんな当たり前の事が

今までできなかったから。


仕事もそのまま続けていられる

事故を起こしても健康体でいられる


大事な人がいつも側にいてくれる

それだけで運を使い切ってしまったから

スロットでヒキが弱いのは仕方ないのかもしれない。


・・・やっぱり勝ちたいけれど。


あの頃のことを今では笑い話にできる。


修羅場になった時

自分が何か起こした事は

帰ってきた時の顔で気づいていたらしい。



帰りが毎日遅い

タバコ吸わないのにタバコ臭い


なんとなく気づいていた。


額がそこまで大きいとは思わなかったけれど。


だから暴れるまでやらないと

きっと同じこと繰り返すでしょ？　と。



見事に打ち負かされた。

バレないようにとやってきたことは

始めからすでにバレていたのである。



もう二度と

悲しませることはない。



だからこれからもきっと

「二人で」

楽しく過ごせていける。

そう思うのである。



了


・・・・・・・


と言いたかったけれど。

数日前

店長

支店の店長と主任２人


４人もの人間が


いきなり解雇されてしまった。



どうやら古い人間はどんどん解雇して


店自体を変革させようとしているらしい。


当然１０年以上勤務している私にも


いつか肩を叩かれる時がくるのかもしれない


そのまま何事もなく仕事できるのかもしれない



今はまだ何もわからないが



この先の未来はどうなっているのだろうか。




それは誰にもわからないのである。




了

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