修羅場

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全ての問題が明らかになったその夜

嫁に起こった事の全てを説明するため

口を開いた。

「実は・・・・・」

そこから一つずつ説明していく。

契約が取れないから不正契約をした事

その契約には自腹を切らなくてはいけなかった事

自腹の返済を迫られ、会社に３０万借りた事

３０万を返済するため、給料を管理した事



そして


不正契約と自分がスロットを打ったお金の総額が



７０万もある事。




一つ一つ聞いていく嫁の顔から

涙が止まらなくなる。

全てを話し終えた後



嫁が重い口を開いた。



「つまり・・・７０万を会社に返済しなきゃいけないのね」



冷静に起こった事を理解する嫁。



「それで？ボーナスも普通に出てたって事でしょ？」



問いかけに何も言わず頷くと




「アンタ何言ってんのよ！！」

「私が年末、腰痛で寝込んでたのに！！」

「ボーナス出なくてどれだけガッカリしたと思ってるの！！」



泣き顔の嫁がまくしたてる。



俺は何も言えず黙っている。



「つーか総額１００万でしょ？」

「ローンほとんど返せるじゃん！！」

「バカなのかぁぁ！！！」




号泣して取り乱す嫁。



呆然として何もできない俺。




「これ誰に言えばいいの？」

「うちの親に言えないよね？」

「うちのダンナ会社から１００万も借りて」

「不正契約と自分がスロット打ちたいから借りた」

「私とアンタの実家に言える？」


「言えるわけないじゃん。その後どうやって顔合わせるのよ！！」




ひたすら謝るしかなかった。

ここまで自分のせいで苦しめることになるとは。




後悔という言葉では足りないほど。


嫁はしばらく泣き止まず



俺はただ慰めることしかできなかった。






少しだけ落ち着いた頃、

実家には電話できないが

東京にいる自分の姉に電話して欲しいと嫁が言う。


少しためらったが、やはり自分の恥は

身内にも知ってもらったほうがいい。

そう思い、電話をつなぐ。


電話に出た姉に



「嫁から伝えたいことがある」



それだけ言って嫁に電話をつなぐ。




嫁が涙を流しながら



「実は今会社から１００万借りている」

「返済を迫られてる」

「うちの給料から少しづつ返していくけど」

「誰にも言えないから聞いてほしい」



最後のほうは言葉になっていなかった。



電話を代わると

「アンタ、嫁ちゃん泣いてんじゃん」

「自分が何やったのか反省しなさいね」

そこからいくつか会話をした後

改めて謝罪し、電話を切る。






そこからしばらくの沈黙。







短い時間だったが








その沈黙が異様に長く感じられた。







そして

「起こった事はわかった。会社にも迷惑かけてるし」

「きちんと返済しよう」


泣き顔ながらも

しっかりと前を見据えて

嫁が言う。




その偉大さに言葉もなく


ただ黙って頷くことしかできなかった。




続く

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